竹田志保氏の初出版本「吉屋信子研究」の装丁装画を担当しました

2018/04/10

D[di:]の高校時代の後輩で日本文学博士の竹田志保氏の初出版本「吉屋信子研究」の装丁装画を担当しました。
頭のてっぺんからつま先まで、いつも黒づくめ衣装の彼女をイメージして&吉屋信子のレトロ感をイメージしてデザインしたとか。
吉屋信子フリークは、マストバイの一冊!

本書は、吉屋信子の大正期から戦中期の長編連載小説を読むことで、その新たな可能性について考察したものである。
これまでの吉屋信子研究は、『花物語』をはじめとする大正期の少女小説についての研究が中心であり、昭和初期に新聞や婦人雑誌に連載されて絶大な人気を博していた長篇小説についての研究は不充分であった。これらの小説は、単に時代に迎合した通俗小説として過小評価されていたが、詳細に読んでみれば、複雑な矛盾と葛藤に満ちたテクストであることがわかる。たとえば『女の友情』、『良人の貞操』、『女の教室』などにおいて、女性登場人物が直面する恋愛や結婚、職業のトラブルは、当時の異性愛中心主義、良妻賢母主義や家族国家観などの価値観に沿うようにして解決が図られるが、彼女たちは常に完全にはそれらに同一化することができずに、微妙なゆらぎや亀裂を生じさせている。この綻びは単なる技術的な失敗なのではなく、むしろ吉屋信子が当時の言説状況のなかで、無意識裡に抱えつつも言語化しえなかったような不満や、怒り、恐怖などのさまざまな欲望が、徴候としてあらわれているといえるのではないか。本書では、これらの長篇小説について、同時代読者の反応や周辺の言説などとの関係、あるいは映画化されたものとの比較検討を通じて、吉屋信子作品がもつ特異性を抽出し、これまでとは違う吉屋信子像を提示することを目指した。


目次
序章 吉屋信子再考
第一章 『花物語』の誕生─<主体化>する<少女>たち
第二章 「地の果てまで」の転機─<大正教養主義>との関係から
第三章 もう一つの方途─「屋根裏の二処女」
第四章 困難な<友情>─「女の友情」
第五章 <良妻賢母>の強迫─「良人の貞操」
第六章 流通するイメージ─新聞・雑誌記事に見る吉屋信子像
第七章 「あの道この道」行き止まり─昭和期『少女倶楽部』の少女像
第八章 三人の娘と六人の母─「ステラ・ダラス」と「母の曲」
第九章 吉屋信子の<戦争>─「女の教室」
終章 展望として

竹田志保(たけだ しほ)
1979年、北海道生まれ。藤女子大学、東京学芸大学を経て、学習院大学人文科学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(日本語日本文学)。現在、学習院大学他非常勤講師。主な論文に、「困難な〈友情〉─吉屋信子「女の友情」論」(『昭和文学研究』65号、2012年9月、昭和文学会)「吉屋信子「地の果まで」論─〈大正教養主義〉との関係から」(『日本文学』62巻11号、2013年11月、日本文学協会)など。

2018年3月20日発行
翰林書房(かんりんしょぼう)
www.kanrin.co.jp

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